猫の乳腺腫瘍(原因、症状、治療法)

猫の乳腺腫瘍(原因、症状、治療法)

猫の癌

森のいぬねこ病院グループ院長

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会所属

西原 克明(にしはら かつあき)先生

猫の乳腺腫瘍ってどんな病気ですか?

猫 質問

猫の乳腺腫瘍は、その名の通り猫の乳腺組織が腫瘍化したものです。

猫の乳腺組織は、乳頭(乳首)が左右4つずつ分布しているのですが、組織自体は胸部から腹部にかけて広がっており、乳腺腫瘍はどこの乳腺組織からでも発症するリスクがあります。

そして、腫瘍の発生が1カ所だけのこともあれば、同時多発的に数カ所にできてしまうこともあります。

さらには、猫の乳腺腫瘍は80~90%が悪性の乳癌と言われており、多くの場合は数週間〜数年の間に転移したり、再発します。

また、猫の乳腺腫瘍の中には『炎症性乳がん』と呼ばれる、炎症による痛みが強く、進行も非常に早い、とても厄介なタイプの乳腺腫瘍もあります。

猫の乳腺腫瘍に罹りやすい猫種を教えて下さい

猫 メモ

今のところ、はっきりした猫種の差というのは無いようです。

文献の中にはシャムでの発生が多いとするものもあるようですが、あまりはっきりしていません。

ただし、生まれて最初の発情が来る前に避妊手術を実施した猫、2回目もしくは3回目の発情前に避妊手術を実施した猫は、避妊手術をしていない猫に比べて、乳腺腫瘍の発生率が低いと言われています。つまり、猫種に関わらず、避妊手術をしていない猫は、比較的乳腺腫瘍にかかりやすいと考えらえています。

また、ほかの猫の腫瘍と同じように、ほとんどが高齢、10歳以上で発症します。もちろん乳腺が発達しているメス猫に圧倒的に多いのですが、稀にオス猫で乳腺腫瘍を発症することもありますので注意が必要です。

猫の乳腺腫瘍の原因って何かありますか?

猫 調べている

猫の乳腺腫瘍のはっきりした原因はほとんど分かっていません。

しかし、若い時期に避妊手術を受けた猫での発生率が低いということを考えると、エストロゲンなどの雌性ホルモンが何かしらの影響を与えているのは間違いなさそうです。

また、猫の乳腺腫瘍に限らず、腫瘍は何かしらの炎症の結果として発症する可能性があります。猫は発情すると、妊娠するしないに関わらず、乳腺が多少なりとも炎症を起こします。ですので、ホルモンだけでなく乳腺の腫れ、炎症が、猫の乳腺腫瘍の発生に関係している可能性も否定できません。

猫の乳腺腫瘍の症状、余命

(どのような症状がありますか?動物病院を受診するポイント)

猫 診察

猫の乳腺腫瘍の症状とは

猫の乳腺腫瘍は、最初は乳頭付近の『しこり』に気づくことがほとんどです。それ以外は元気の程度、食欲の変化など他の臨床症状はなく、元気に過ごしています。

しこりは1ヶ所のこともあれば、複数ヶ所にできていることもあります。

しかし、チンチラやメインクーンなどの長毛種では、その毛の深さから乳腺腫瘍に気づくのが遅れることがあるため注意して、日頃からこまめにチェックしてあげてください。

乳腺腫瘍がある程度進行すると、腫瘍が大きくなって、中には熱や痛みを持ったりすることがあります。

そうすると、乳腺腫瘍に触れることで、怒ったり、びっくりしたような仕草を見せることがあります。

さらには、大きくなりすぎると、腫瘍が破裂して出血や膿が出てくることもあります。

また、それを猫自身が舐めてしまい、乳腺腫瘍周辺の皮膚がただれていることもあります。

病気が進行し、乳腺腫瘍が肺に転移している場合は、眠っている時など安静な状態でも、呼吸が早くなっていたり、疲れやすい、口を開けて呼吸をしているといった、呼吸器症状を認める時があります。

そして食欲も落ち、体重がどんどんと減っていきます。

炎症性乳がんの症状

炎症性乳がんでは、最初はほかの乳腺腫瘍と同じく、しこりに気づくことから始まります。

しかしその進行は早く、数週間でどんどんと大きくなり、さらにはほかの乳腺組織にまで広がっていきます。

さらには乳腺腫瘍自体が炎症を起こし、腫瘍としての巨大化だけでなく、炎症による腫れも見られ、炎症もどんどんと広がっていきます。

それに伴い、熱や痛みなども見られるようになり、元気食欲もなくなり、状態が非常に悪くなっていきます。

猫の乳腺腫瘍の余命

猫の乳腺腫瘍の余命は、はっきりした数字では表せませんが、原則として、乳腺腫瘍が大きいほど余命は短く、転移があればやはり余命が短くなります。また、炎症性乳がんは進行が早いため、数週間〜数ヶ月の余命となることが多いようです。

猫の乳腺腫瘍で動物病院を受診するタイミング

何れにしても猫の乳腺腫瘍の初期は、乳頭付近のしこりに気づくことから始まります。

しかし、そのしこりが乳腺腫瘍なのか、それとも他のものなのかは、触っただけでは正確には判断できません。

ですので、しこりを発見した時点で動物病院を受診するようにしましょう。

猫の乳腺腫瘍の診断、検査

病理検査

動物病院では、乳腺腫瘍の診断は『病理検査』によって行われます。

病理検査は、乳腺腫瘍を顕微鏡で細胞レベルのチェックを行い、診断する検査ですが、病理検査を行うためには、乳腺腫瘍を切除する必要があるため、大抵は治療としての手術を行い、その後に病理検査を実施することになります。

つまり、手術前に乳腺腫瘍かどうかを確定させることができません。

そのため、中には乳腺腫瘍を疑って手術をしたが、病理検査では乳腺腫瘍じゃなかった、というケースもごく稀にあります。

細針吸引生検はあまり有効ではありません

手術の前に診断する方法として、細針吸引生検(腫瘍に針を刺して、その針で採取された細胞をチェックする検査)があり、乳腺腫瘍以外の多くの腫瘍ではこの検査によって、手術前におおよその診断を下すことができます。

しかし、乳腺腫瘍は、細胞をチェックするだけでなく、組織の構造もチェックしないと正確な診断ができません。

細針吸引生検では、構造を維持したまま細胞を採取することができませんので、残念ながら、乳腺腫瘍ではあまり有効な検査とは言えません

(もちろん、ほかの腫瘍では必須の検査となります)。

猫の乳腺腫瘍は80%以上は悪性

とはいえ大抵は診察の段階で、乳腺腫瘍かどうかは、おおよその見当をつけることができます。

さらに猫の場合は乳腺腫瘍の80%以上が悪性だとされていますので、ほとんどの場合は、細針吸引生検なしでも獣医療的に問題になることはありません。

ただし、飼い主の方からすれば、小さなしこりを見つけて受診した段階で、突然「手術が必要です」と言われることがあるので、驚く方がほとんどです。

でも上記の理由をご理解いただき、積極的な治療を進めていただければと思います。

猫の乳腺腫瘍の治療法

(どのようにして治療しますか?手術、抗がん剤など)

猫の治療

猫の乳腺腫瘍の治療は、原則的に外科手術を行います。

手術の方法はいくつかあり、しこりだけを切除する方法、片側の乳腺を全て切除する方法、両側の乳腺を全て切除する方法があります。

これは、乳腺はそれぞれ繋がっているので、乳腺腫瘍だけを切除しても、腫瘍細胞がほかの乳腺に転移している可能性があるためです。

その転移をによる乳腺腫瘍の再発を防ぐために、一度の手術でほかの乳腺も切除する方法を取ることも考慮しているものです。

もちろん、一度に多くの乳腺を手術すると、それだけ手術による体のダメージも大きくなってしまいます。

また、両側の乳腺全てを同時に切除すると、かなりの皮膚も切除するため、切除後の縫合で、皮膚の張りが強くなったり、胸の締め付けがきつくなったりして、様々な合併症を引き起こしてしまうリスクもあります。

そのため、再発のリスクや手術方法のリスク、さらには猫の健康状態などを考慮して手術方法を決定します。

乳腺腫瘍だけを切除する方法や、片側の乳腺のみを切除する方法では、悪性の場合は再発することがあります。

さらには両側の乳腺を全て切除したとしても、細胞レベルで腫瘍細胞が残ってしまった場合は、再発する可能性もあります。

そのほかの化学療法(抗がん剤療法)や放射線療法は、手術後の再発防止、あるいは何らかの理由で手術ができない猫に対して実施されることがあります。

しかし、私が知る範囲では、放射線療法で、乳腺腫瘍が小さくなるケースはありますが、化学療法で、明らかに延命できたり、生活の質が改善したというケースはほとんどありません。

猫の乳腺腫瘍の治療例

猫 カルテ

当院での猫の乳腺腫瘍の治療の流れ

私の病院では、猫の乳腺腫瘍に対しては、やはり手術による切除を行なっています。

特に猫の乳腺腫瘍は、ほとんどが悪性であること、腫瘍の大きさによって余命が変わってくることから、乳腺腫瘍が疑われた段階でなるべく早い手術をお勧めしています。

また、手術の方法はほとんどが両側の乳腺を全て切除する方法を取っています。

これは、猫の乳腺腫瘍はそのほとんどが悪性であることから、部分的に手術をしても再手術になる可能性が高くなるためです。

そしていざ再手術になると、飼い主の方の心情的な理由から、再手術を希望されなくなることがあります。

前述の通り、猫の乳腺腫瘍はその大きさによって余命が変わってきますから、せっかく一度手術をしても再手術を行わず、腫瘍が大きくなってしまったら、結果的に残念なことになる可能性が高いため、なるべく一度の手術で済むようにしています。

もちろん、乳腺腫瘍じゃなかった場合、あるいはラッキーなことに良性の乳腺腫瘍だった場合は、全ての乳腺を切除する必要はありません。

ですので、なるべく無駄な切除を避けたいという方の場合は、まず腫瘍だけを切除する手術を行い、その後病理検査の結果に基づいて、再手術を行うという二段階で手術を行うこともあります。

ただし、炎症性乳がんが疑われる場合は、手術をしても炎症が治まらず、術後の状態が回復しないまま亡くなってしまうケースもありますので、その場合は、手術をせずに対症療法だけを行うこともあります。

術後の生活レベルを維持し、なおかつ再発を抑えるために

猫の乳腺腫瘍の手術後は、再発を防ぐために、様々な対策を行います。

ただし、猫の乳腺腫瘍に対して化学療法はあまり効果が高くありませんから、私の場合はよほど飼い主の方が望まない限りは実施してません。

その代わり、アガリクスのような免疫調整作用、腫瘍の進行を抑えてくれる作用を期待できるサプリメントお勧めしています。ただし、猫用のサプリメントは、品質的にお勧めできないものも多く、取り入れる場合は、しっかりとしたものを選んであげることが重要です。

これは私の個人的な経験ですが、全ての猫で効果があるわけではありませんが、やはり高品質なサプリメントを使っていると、乳腺腫瘍の進行が緩やかになったり、あるいは手術後の再発が少ない印象があります。ですので、私自身は飼い主の方の経済的な事情が許す限りは、なるべくサプリメントを取り入れていただくようにしています。

猫の乳腺腫瘍 食事で注意することや予防法

普段からどんなことに注意して飼ったらいいですか?

ペットフード選ぶ

猫の乳腺腫瘍の予防に関しては、やはり生まれて最初の発情がくる前、およそ生後6ヶ月以内に避妊手術をすることが最も有効だと考えられます。

そのほかは、残念ながら明らかに有効な予防方法はなく、食事も確立されたものはありません。

ただし、前述のとおり、免疫力を強化するサプリメントは、個人的な印象として、腫瘍に対して何らかの良い働きをしてくれると考えています。

特にキャットフードなど、ミクロのレベルで酸化反応や炎症反応が起きやすいものを使っている場合は、良質なサプリメントの摂取をお勧めしています。

執筆者

西原先生

西原 克明(にしはら かつあき)先生

森のいぬねこ病院グループ院長

帯広畜産大学 獣医学科卒業

略歴

北海道、宮城、神奈川など様々な動物病院の勤務、大学での研修医を経て、2013年に森のいぬねこ病院を開院。現在は2病院の院長を務める。大学卒業以来、犬猫の獣医師一筋。

所属学会

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会、獣医麻酔外科学会、獣医神経病学会、獣医再生医療学会、ペット栄養学会、日本腸内細菌学会

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