猫の真菌症(皮膚糸状菌症)の原因、治療、予防法【獣医師執筆コラム】

猫の真菌症(皮膚糸状菌症)の原因、治療、予防法

猫の真菌症

森のいぬねこ病院グループ院長

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会所属

西原 克明(にしはら かつあき)先生

猫の真菌症ってどんな病気?

真菌症とは、いわゆる『カビ』が感染することで引き起こされる病気です。真菌はあらゆる臓器に感染する可能性がありますが、通常、健康な猫では、真菌の感染はほとんど見られず、真菌に対して自分の免疫力で防ぐことができます。

逆に真菌症に感染してしまう場合、そのほとんどは『日和見感染』と言って、猫が何らかの原因で免疫力が低下してしまうことによって感染してしまいます。猫では特に猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ、FIV)などの重度の病気で、免疫力が低下してしまい、肺炎や胃腸炎などの真菌感染にかかってしまうことがあります。

しかし、このような真菌症は非常に稀で、日常の診療で見かける猫の真菌症は、ほとんどが皮膚への感染を引き起こす皮膚糸状菌症です。ここでは、日常よく見る猫の皮膚糸状菌症について解説します。

猫の皮膚糸状菌症って何?

猫の皮膚糸状菌症は、他の真菌症と同じように、免疫力が低下している猫に見られる感染症です。実際の診療では、特に生後2〜3ヶ月の仔猫での感染を多く経験しています。生後2〜3ヶ月の仔猫では、母親からもらっていた免疫力がなくなってくる時期で、生後間もない時よりも免疫力が下がっている状態のため、皮膚糸状菌症にもかかりやすくなります。

また、アレルギー性皮膚炎や膿皮症など、他の皮膚炎に併発して発生することもあります。やはりこれも皮膚炎によって皮膚の免疫力が低下してしまったことによって、皮膚糸状菌の感染が引き起こされるためと考えられています。

猫の皮膚糸状菌症の症状は?

猫の皮膚糸状菌症の症状は、脱毛やフケ、湿疹、さらに痒みが見られることが多いです。皮膚自体はどちらかというとベタついていることよりも、カサカサした中に脱毛やフケが多量に見られます。

また、仔猫の皮膚糸状菌症では、主に顔面および耳に病変が見られることが多いように感じています。しかし、感染が広がると、全身に病変が見られるため、保護したばかりの子猫などで診断が遅れると、すでに全身に広がってしまっていることもあります。

成猫の皮膚糸状菌症は、併発疾患によっても病変が見られる場所は様々です。

しかし、これら猫の皮膚糸状菌症の症状で気をつけなければならない点は、他の皮膚病でも同じような症状を示すことが多いため、症状だけで皮膚糸状菌症の診断はできないということです。さらには、ほとんどの皮膚病変では、他の皮膚病と一緒に皮膚糸状菌症も疑わなければならず、診断には注意が必要です。

猫の皮膚糸状菌症の診断方法は?

猫の皮膚糸状菌症の診断の中でも、もっとも信頼性の高い検査は『培養検査』です。この検査は、病変から採取したものを真菌が増殖しやすい環境におき、実際に増殖してくる真菌を直接確認する方法です。つまり、培養検査で皮膚糸状菌が見つかれば、非常に高い確率で皮膚糸状菌症の診断ができます。

ただし、この培養検査は、100%の診断率ではありません。猫の皮膚糸状菌症の原因となる真菌はほとんどが一種類なのですが、ごく稀に他の皮膚糸状菌が原因となることがあり、中には培養検査では見つからないケースもあるようです。また、培養検査で見つかったとしても、その真菌が必ずしも皮膚病変の原因とは限らず、必ず症状や他の検査と併せて総合的に診断しなければなりません。

その他の検査には、猫の被毛に付着している真菌を直接顕微鏡で確認する検査や、その他の細菌感染やダニなどの寄生虫感染を確認するための検査などを行います。

猫の皮膚糸状菌症の治療方法は?

猫の皮膚糸状菌症は、主に抗真菌剤の投与で治療します。抗真菌剤は、直接皮膚糸状菌に作用しますので、非常に効果的に治療することが可能です。病変がごく限られた範囲では、塗り薬で治療することがほとんどですが、猫の皮膚糸状菌症では、病変が体のあちこちに広がっていることも多く、また塗り薬を舐めてしまう危険もあるため、飲み薬で治療することも多いです。

抗真菌剤は、中には猫にとって非常に副作用が出やすいものもありますので、投薬するときは、必ず獣医師の指示に従うようにしてください。また、通常、抗真菌剤の投与は数ヶ月に及ぶことがほとんどです。見た目が良くなったからといって、自己判断でお薬をやめてしまうと、かえって再発をひどくしてしまうことがあるため注意が必要です。

ただし、特に仔猫はまだ十分に代謝機能が発達していませんので、抗真菌薬による副作用には十分気を付けなければなりません。個人的には、仔猫を拾われた方が、ご自身で皮膚糸状菌症を疑い、市販の抗真菌剤入りのシャンプーで薬浴をした結果、中毒症状を起こしたケースも経験しています。

もちろん抗真菌剤に限った話ではありませんが、仔猫の治療については特に慎重さが必要ですので、必ず獣医師の診察のもとで治療を行うようにしてください。

また、猫の皮膚糸状菌症の多くは、仔猫や猫エイズに感染した猫など、猫自身が免疫力が低い状態で感染してしまうことがほとんどです。そこで、少しでも猫自身の免疫力を高めるために、私自身はキングアガリクスを併用しています。

個人的な感想ではありますが、特に仔猫の皮膚糸状菌症では、キングアガリクスを併用した方が、回復が早い印象があります。

ちなみに、犬の皮膚糸状菌症では、薬用シャンプーを使った薬浴を行うことも多いのですが、猫では薬浴を極度に嫌うケースも多く、私自身はあまり併用はしていません。また、仔猫でおとなしく薬浴させてくれる場合でも、上記のような経験がありますので、薬用シャンプーなどは使わないで、刺激の少ないもので洗うようにしています。

猫の皮膚糸状菌症の予防方法は?

猫の皮膚糸状菌症は、仔猫や多頭飼育の猫、高齢や病気などで免疫力が低下している猫で多くみられるため、特に猫自身の免疫力と衛生環境の整備が、予防には非常に重要だと考えます。

まず、猫の免疫力については、多頭飼育など、狭い空間に猫の生活空間が共有されていると、それ自体がストレスとなり、免疫力の低下につながります。例えば、猫白血病ウイルス感染症は、成猫での感染は少ないのですが、多頭飼育だと感染率が高まることが知られています。それと同じように、多頭飼育のストレスで免疫力が下がった猫では、皮膚糸状菌の感染も受けやすいのではと考えられています。

また、猫の免疫力を維持するには、個人的にはサプリメントをお勧めしています。治療のところでもお伝えしましたが、キングアガリクスのようにサプリメントの中でもきちんと学術データを揃え、品質の良いサプリメントであれば、猫に免疫力維持には非常に役立つものになると考えています。サプリメントについては、猫の免疫力がいつ下がるのか、見た目ではわからないため、なるべく早い段階で取り入れることをお勧めします。

衛生環境の整備に関しては、やはり皮膚糸状菌に限らず、不衛生な環境では真菌(カビ)が増殖します。正常な免疫力を持っている猫でも、多量の真菌が存在していると、感染してしまうリスクはゼロではありません。もちろん真菌以外の感染症を予防する意味でも、猫の生活空間は常に清潔に保つようにしましょう。

さらには、猫が病気をしてしまうと、それだけで皮膚糸状菌症の感染リスクは高くなってしまいます。なるべく早期に治療ができるよう、常日頃からの健康チェックや、定期的な動物病院での健康診断を受けることも、皮膚糸状菌症の予防につながります。

猫の皮膚糸状菌症で人が気をつけることは?

猫の皮膚糸状菌症は、人に感染することがあります。特に猫と同じく、免疫力の低い乳幼児や高齢者、持病を持っている方は要注意です。もちろん、皮膚糸状菌症を持っている猫に触れることで、必ず感染するわけでありませんし、おそらく感染する方が少ないと思いますので、健康な方が必要以上に怯える必要はありません。

ただし、猫に触れたりした後の手洗いは必ず行い、皮膚糸状菌症の猫と免疫力が低下した方との接触は要注意。また、人間の方が体調不良で病院を受診する際には、猫の病状も合わせて伝えるようにしましょう。

猫の皮膚糸状菌症のまとめ

猫の皮膚糸状菌症は、仔猫や高齢猫、あるいは多頭飼育や病気を持つ猫など、免疫力が低下している猫で見られる皮膚病です。治療は、主に抗真菌剤の長期投与を行いますが、中には数ヶ月もの治療が必要になるケースもあります。また、常日頃からの衛生環境や猫のストレス管理など、健康的な生活を送ることで予防に努めるようにしてください。

執筆者

西原先生

西原 克明(にしはら かつあき)先生

森のいぬねこ病院グループ院長

帯広畜産大学 獣医学科卒業

略歴

北海道、宮城、神奈川など様々な動物病院の勤務、大学での研修医を経て、2013年に森のいぬねこ病院を開院。現在は2病院の院長を務める。大学卒業以来、犬猫の獣医師一筋。

所属学会

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会、獣医麻酔外科学会、獣医神経病学会、獣医再生医療学会、ペット栄養学会、日本腸内細菌学会

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