猫の皮膚糸状菌症の治療法と予防する6つのポイント【ペットアドバイザー執筆】

猫の皮膚糸状菌症とは?

執筆者:大柴淑子(おおしばしゅくこ)

元動物看護士・ペットアドバイザー

猫の皮膚糸状菌症の概要

猫の皮膚糸状菌症は「猫の円形脱毛症」や「猫カビ」などと呼ばれることもある、真菌症の一種です。病名に「猫」とついてはいますが、原因となっている真菌自体は犬はヒト、ハムスターやウサギなどにも感染するズーノーシス(人畜共通感染症)であり、ペット以外の動物にも感染のおそれがあります。

糸状菌症の原因である真菌は、動物の被毛や皮膚を作るケラチンという成分をエサにしているため、主に体表に感染しますが、なめたり足で掻いたりすることで身体全体に広がり、またグルーミングをし合うことで他の動物にも感染していきます。

皮膚糸状菌症の原因となる真菌は数種類存在しますが、どれも長期間は生きていられない菌ばかりです。何度も徹底的に掃除をして清潔に保てるかどうかが、治療のカギとなります。

皮膚糸状菌症へのかかりやすさ

犬のように種類によっての感染しやすさは、猫の場合には、明確にはありません。ですが、長毛種のほうが手入れも行き届かない可能性があり比較的保菌しやすいので、感染しやすいと言えるでしょう。湿気の含みやすさにもその一因があります。

また、疾患を持っていて治療中の個体は、免疫力の低下によって皮膚糸状菌症にもかかりやすくなる傾向があります。同じように子猫や老猫も免疫力の不安定さからかかりやすいとされています。

症状

主な症状です。
・感染部分の円形脱毛
・脱毛箇所に赤く輪状の腫れができる(リングワーム)
・軽度~中度のかゆみ
・脱毛部分のフケ
・感染部分のかさぶた
・爪の変色、悪化すると抜け落ちてしまうことも
・プツプツした粟粒のような湿疹
・皮膚の炎症反応

かゆみがある場合は、猫が治療中に患部を舐めてしまう場合があります。その場合は対策としてエリザベスカラーをつけておこなうと良いでしょう。かゆみは激しいものではありませんが、繊細な個体はストレスになるためさらに舐めて悪化してしまうのです。

無症状でも菌がいる

原因が真菌によるものだと言われると特別に恐ろしい病気のように感じてしまいますが、実は、症状の出ていない猫の8割以上にこの菌が住み着いています。猫の体表には真菌が潜んでいますが、ほとんどの場合は感染していないため、症状は出ません。この状態を「不顕性感染」といいます。

そのため、もしそれまで健康で持病のない猫の場合、発症しても軽いもので済む場合が多くあります。しかし持病があり生まれつき身体の弱い個体や、皮膚の防御機能が育っていない子猫、治療などで一時的に免疫力の低下した個体が感染すると、真菌が力を発揮して悪さをし、症状を起こすことになるのです。

原因

・外部からの持ち込み
原因となる真菌は、本来土壌に住んでいる細菌です。外を歩き回る猫との接触や、飼い主が同伴する散歩、ペットショップや動物病院、キャットショーなどでの保菌中の個体との接触など、感染経路はいくつもあります。媒介だけでなく、接触するすべての猫に可能性があることを忘れてはなりません。

・多頭飼育による感染
皮膚糸状菌症はズーノーシスであるため、ネコが他の動物と接触しなくても、人間や多頭飼育されている犬などが媒介して感染することがあります。猫が多数いた場合でも、一匹が外部から持ち込めば、あっという間に家中の猫に広がります。多頭飼育はリスキーに感じますが、外部からの持ち込みは一頭であっても複数であっても同じなので、どこにでも感染の可能性があると言えます。

猫の皮膚糸状菌症の治療法

検査

◆視診と菌の特定 
まず見た目の状態で、症状の把握と原因の予測をおこないます。その後細菌の検査にうつります。

◆原因菌の検査 

・ウッド灯検査
真菌は紫外線に反応するため、ウッド灯と呼ばれる紫外線灯を当てて光るかどうかを観察します。グリーンに発光した場合は真菌と特定されます。しかし猫の皮膚糸状菌症では反応しない菌が原因である可能性もあります。またホコリなどでも反応が出る事もありますので、反応がなくても、これだけで病気の特定をすることはありません。反応がない場合は真菌の培養検査をおこなって、確実にしていきます。

・培養検査
体表から菌を採取し、培養液で培養して菌の特定を行います。真菌は増える時にタンパク質を分解しますが、その時アルカリ性に傾く性質があります。これを利用して、ペーハーを色で示す薬品を使い、菌が増えた培地がどのように変化をするのか観察することで、菌を特定することができます。

ほとんどの動物病院がこの検査を専門機関へ外注しているため、結果が出るまで1週間ほどかかってしまいます。その間に症状を悪化させないよう、特定していなくても薬用シャンプーなどで改善を試みます。特定されてから治療に移行します。

◆合併症の有無 
皮膚の免疫力が低下して症状が出ている場合は、真菌に限らず他の細菌にも感染している可能性があります。他にどのような感染症の可能性があるのか見極めるために、複数の検査をおこないます。合併症の場合は、投薬中や他の疾患の治療中の場合は、健康体の猫の感染よりも長くかかってしまうこともあります。

治療

◆塗り薬による治療 
「ケトコナゾール」という成分が含まれた「ニゾラール」という塗り薬が一般的です。白いクリームで、症状の出ている患部の毛を剃り、1日1回塗りこんで治療をおこないます。他にもローションや軟膏などもあります。

◆薬用シャンプーの使用 
定期的に薬用シャンプーを使用して治療をおこなう方法です。シャンプーに含まれる薬用成分を皮膚に浸透させて治療をおこないます。

◆飲み薬による治療 
主に「イトラコナゾール」という錠剤で、食餌の時に飲ませる薬です。
抗真菌剤の飲み薬は副作用があるため、軽度の場合は使用しないこともあります。
しかし1か月以上にわたる重度の場合は、シャンプーや軟膏と併用しながらの治療となります。

◆治療中の毛刈り 
動物病院では、治療期間中の毛刈りを推奨されることが多いです。これは感染被毛を飼育環境にまき散らさないようにするためと、薬用シャンプーや軟膏の浸透を良くするためで、治療前に毛刈りをおこなったほうが治りが早くなるからです。

皮膚糸状菌症は特に長毛種の猫に多いため、毛刈りをすると見た目に大きく影響します。そのため飼い主が拒否することもありますが、治療後は脱毛部分も剃った部分も健康な毛が生えてきますので、心配はありません。

完治までの長い道のり 
皮膚糸状菌症が完全に治るまでには、数か月から半年近くかかってしまいます。できるだけ悪化しないうちに早期発見できるか、また治療中はいち早く「感染のループ」から抜け出せるか、が重要なポイントとなりますので、早めに完治できるよう環境対策もおこないましょう。

予防法

皮膚糸状菌症の原因菌である真菌は、被毛やフケの脱落と共に床やベッドに散らばって落ちています。感染力は1年以上も続くと言われていますので、除去しなければ感染がおさまりません。菌が特定された時点からすぐに掃除に取り掛かりましょう。居場所を清潔に保つことが治療においても重要です。

再発予防、感染予防の方法は多数あります。

・感染猫とは接触させない 
基本的には感染している個体とは接触させないことが原則です。
ブラシやベッド、生活する場所も別にし、感染猫の使用したものは処分したほうが良いでしょう。

・日頃のチェックをする 
猫は痒いところを舐め続け、舐め壊して他の細菌に感染し症状が悪化するケースが大変多くあります。身体の気になるところがある場合、かゆみでなくストレスで舐めている場合もありますので、頻繁に舐める症状が見られたら動物病院で検査をしてみましょう。

猫は自分で手入れをするため、皮膚トラブルが起きてもなかなか見えにくいものです。スキンシップをまめにおこなったり、定期的な健診をおこなって、トラブルを小さなうちに見つけるようにしましょう。

・感染経路を減らす 
多頭飼いしている場合は、感染経路が分かりにくいので特に注意しましょう。猫は基本的に室内飼いの動物で、家の外に出さないことが原則です。これは皮膚疾患予防だけでなく、エイズや他の感染症も同じです。わざわざ感染リスクを大きく高める必要はありません。外に出す必要は基本的にはない動物だと認識を改めましょう。

・環境を清潔に保つ 
飼育環境を清潔に保つよう努力しましょう。掃除機で効率的にカーペットや床を掃除します。抜け毛には症状が出ていなくても真菌が付着している可能性が高いので、ためておかないのが大きなポイントです。

・気温湿度をキープする 
真菌は、高温多湿の環境で増えやすくなります。完全室内飼いを徹底するのはもちろんのこと、飼育環境を高温多湿にならないように注意しましょう。エアコンや除湿器を使って上手に調整しましょう。猫の環境によるストレスには温度や湿度も含まれますので、その猫の種類に適した飼育環境を作ってください。

・再発防止に努める 
もし感染してしまったら、治療後は再発しないように大掃除をしましょう。消毒には塩素系漂白剤で掃除をおこなうと効果的です。以下の方法で入手しましょう。
・塩素系漂白剤(いわゆる塩素、ハイターなど)を水10あたり1の割合で混ぜる
・動物病院から塩素系消毒剤を購入する

皮膚糸状菌症では塩素系消毒剤の使用が効果的ですが、塩素には脱色作用もあるため、液が濃すぎると布類の劣化につながります。布製品は希釈液で浸けおくか、全て廃棄することで感染が回避できますが、布の劣化を考え、安価であれば買い直した方が良さそうです。

猫の皮膚糸状菌症まとめ

猫の皮膚糸状菌症はズーノーシスの一つです。ズーノーシスは「人から人」「動物から動物」だけでなく、それぞれが媒介して「環境から環境」へ広がってしまいます。常に感染のリスクがあることを頭の隅に置いておきましょう。もし皮膚糸状菌症のような症状が出ている時は、猫だけでなく自分たちにも関係があるのだと考え、動物病院へ早めに受診してください。感染を拡大させないよう、スピーディーな対応を心掛けましょう。

執筆者:大柴淑子(おおしばしゅくこ)

webライターで元動物看護士・ペットアドバイザー。

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