ワンちゃん・ネコちゃん相談室 Consultation room

ワンちゃん・ネコちゃん相談室

コッカースパニエルが指間炎を繰り返す場合の原因と対処法

動物看護士・トリマー執筆

コッカースパニエルの指間炎について

執筆者:山之内さゆり先生

動物看護士・トリマー

 

コッカーは外耳炎や脂漏症などさまざまな皮膚疾患を抱えやすい犬種です。

 

そのため、指間炎にも自然となりやすく継続的な治療が必要な場合も少なくありません。

 

そして、どんなに治療して一時的に良くなったとしてもまた繰り返してしまい、悩んでいる飼い主さんも同じように多くいらっしゃいます。

 

では、なぜコッカーの指間炎は繰り返してしまうのか?その原因と対処法について今回はお話しします。

 

コッカーが指間炎を繰り返す原因

コッカーが指間炎を繰り返す原因としてまず言えるのが、体質的に肌トラブルを起こしやすいということです。

 

ただ、体質だからで片づけられてしまってもどうすることもできませんし、できるならその体質を無関係に治療して良い状態を維持したいですよね。

 

コッカーが指間炎になりなやすい体質としてあげられる理由が、皮脂分泌が多く乾燥しやすいといった特徴を持っているからです。

 

また、乾燥しやすいということはそれだけ肌のバリア機能も低下していることを表し、それは外部からの刺激にも非常に弱い状態にあることを意味します。

 

そして、足裏や指の間はデリケートな場所であるにも関わらず、地面に直接触れているため小さな傷が付きやすかったりダメージを受けやすい環境にあるのです。

 

この『体質+環境』こそがコッカーが指間炎を繰り返す原因と言っても過言ではないでしょう。

 

コッカーが指間炎を繰り返すときの対処法

コッカーが治療をしても指間炎を繰り返してしまうとなると、継続して薬を使い続けなければならなくなると思います。

 

薬があれば症状が落ち着いたり一定期間改善されていたとしても、やはり使い続けるというのはできることなら避けたいところ。

 

そこでおすすめしたいのが、外部からのケアだけではなく内部からのケアです。

 

外側と内側から合わせてケアすることで、皮膚トラブルを起こしにくく治りやすい体質を目指すことができます。

 

では、まず内部ケアにはどんな方法があるのかいくつかご紹介しましょう。

 

【体の内側からのケア】

 

①食事によるケア

人間の体と同じようにコッカーの体も食べたものから作られています。

 

つまり、良質な食事を食べていれば細胞から健やかで元気な細胞が作られるため、強い体作りにつながるというわけです。

 

特におすすめなのが皮膚疾患の治療・予防を目的に作られたドッグフードで、特別な療法食を与える必要がある病気でなければ使うことができます。

 

それを判断するためにも一度動物病院で診察してもらう必要がありますが、特に問題なければ食事アレルギーに配慮したドッグフードを与えることで、体の内側から皮膚に対して強く働きかけることが可能です。

 

意外かもしれませんが、食事ひとつで皮膚・被毛の状態は大きく変わり抜け毛やツヤなどにも影響します。

 

また、一般的に売られている低価格なドッグフードは着色料が使われていたり、原料の質が悪すぎたりすることがほとんどなので、あまりおすすめはできません。

 

安くて良いものを選ぶのが買い物上手とも言いますが、食べ物に関しては極端に安いものを選ぶと体に良い影響を与えないので、最低でも1kg1,000円以上のものを選ぶようにしましょう。

 

②サプリメントを使う

サプリメントというと何となく効くか効かないかイマイチ分からない印象があるため、良いんだろうけど続けられないという人は少なくありません。

 

しかし、サプリメントは薬ではなく「食品」であることを大前提に考えると納得がいくのではないでしょうか。

 

食べ物からいろんな栄養素を取り入れて、体のいろんな場所に必要な栄養を届けるのが本来の流れですが、サプリメントを使うことで足りない部分を補い強化したい場所を強化することができます。

 

しかし、先述したようにサプリメントは薬ではなく食品なので、効果の実感の仕方はとても緩やかです。

 

薬であれば短時間・短期間で効果を実感することができますが、サプリメントが食品である以上それは不可能。

 

しかし、普通にドッグフードから栄養を取るだけでは足りない部分をサプリメントで補い強化することで、元気で健やかな体づくりをすることができます。

 

おすすめはキングアガリクス

サプリメントと一口にいってもいろんな種類があり、皮膚に特化したものもあれば関節に特化したものなどさまざまです。

 

では、コッカーの繰り返す指間炎におすすめのサプリメントはどんなものかというと、それはキングアガリクスのサプリメントです。

 

キングアガリクスは皮膚に直接的な影響を与えるというよりも、体全体の免疫力・抵抗力をぐっと大きくしてくれるもの。

 

コッカーが指間炎を繰り返すのは体質的に皮膚トラブルを抱えやすいからだとお話ししましたが、皮膚トラブルを抱えやすいということは皮膚の免疫力・抵抗力が弱いということです。

 

皮膚のバリア機能を高めるために保湿をするのはもちろんですが、皮膚自身が元気で自らの水分を抱え込む力を養い、さらに膿皮症やマラセチアなど皮膚の免疫力の低下によって引き起こる皮膚病に対しても強くあるためには、なによりも体の免疫力・抵抗力が必要です。

 

そして、キングアガリクスをおすすめする大きな理由は完全無添加の自然栽培100%アガリクスのみだということ。

 

特にアレルギーを持っているコッカーになるとなんでも与えるわけにはいきませんが、キングアガリクスはそうしたアレルギーで悩んでいる子こそおすすめしたいサプリメントですし、アレルギーこそなくても皮膚トラブルを抱えやすいコッカーにはぜひ使ってもらいたいものでもあります。

 

【体の外側からのケア】

 

①薬用シャンプー・保湿系シャンプーを使う

次は外側からのケア方法ですが、まずおすすめなのがコッカーのシャンプーの時に使うシャンプー剤の種類です。

 

シャンプー剤といってもいろいろな種類がありますが、コッカーの指間炎を繰り返させないために使うのであれば、皮膚を保湿しバリア機能を高めてくれるようなシャンプー剤を選ぶことがおすすめです。

 

例えば薬用シャンプーなら皮膚のバリア機能を高める目的で作られたアデルミルシャンプー、増えすぎた菌を殺菌・予防することができるノルバサンシャンプーなど、比較的使いやすいものがあります。

 

しかし、こうした薬用シャンプーは獣医師の診察のうえ判断してもらわなければいけないので、一度診察をして相談するようにしましょう。

 

また、相談する皮膚トラブルに強い動物病院(獣医師)を選ぶとより安心です。

動物病院の獣医師によっては皮膚トラブルにそこまで詳しくない先生もいれば、皮膚トラブルに強い先生もいるので、ホームページを見たり電話で聞いてみるのもいいですね。

 

詳しい先生であれば、電話相談の時点で信頼できる的確な回答をしてくれることがほとんどなので、そうしたところから判断するといいでしょう。

 

そして、もし薬用シャンプーではなく一般的なシャンプーで対応するのであればセラミドやアミノ酸、アロエなどを主成分に作られた保湿メインのシャンプー剤を選ぶといいです。

 

これらは薬用シャンプーではないため特に獣医師の診察・処方が必要になることはありませんが、選ぶ際は自分で判断して選ばなければいけないので確かな成分であるか判断がせまられます。

 

しかし、実際にその成分が十分な量使われているのか?保湿効果は十分なのか?というのは使ってみなければわかりませんし、値段が安いほど中身の成分も薄い可能性が高いのも事実です。

 

そこで、私が動物病院勤務時代に使っていたものでおすすめできるものがあります。それが、ナチュラルシャンプー、アロビーンシャンプー、そしてアロビーンコンディショナーです。

 

ネットでも検索するとすぐに出てくるのですが、アミノ酸を主成分にして作られているため皮膚にとても優しく優しい泡立ちと洗い心地を実現してくれます。

 

使い分けとしてはナチュラルシャンプーは乾燥の予防に、アロビーンシャンプーは乾燥やフケに悩んでいる子におすすめです。

 

シャンプーのあとはしっかり洗い流してタオルドライをし、ドライヤーの前に皮膚にしっかりとアロビーンコンディショナーを塗り伸ばしていきます。

 

しっかり塗り込むコツとしては、手のひらから指の間までしっかりアロビーンコンディショナーを伸ばし、毛の根元に手を入れこんでマッサージするように伸ばしていくといいです。

 

また、アロビーンシャンプーはフケや乾燥が起こる前の予防としてももちろん使えるので、比較的皮膚が弱い傾向にあるコッカーで特定の薬用シャンプーでなくてもいい子には、とても使うことが多かったです。

 

ちなみに、アロビーンコンディショナーは洗い流す必要のないものなので、保湿クリーム代わりにも使うことができます。

 

ナチュラルシャンプーやアロビーンシャンプーではなく、普通のシャンプーを使っていた子にも最後はアロビーンコンディショナーでケアしていたのですが、アロビーンコンディショナーだけでもしっかり保湿されていたので効果抜群です。

 

使っていた私たちトリマーの手も肌荒れ知らずにまでなったので、犬だけでなく人にも嬉しいアイテムだと思います。

②足裏の毛を短くカットする

足の裏の毛が伸びたままの状態だとムレやすく雑菌が繁殖しやすい状態になるため、定期的に足裏の毛を短くカットするようにしましょう。

 

ただし、バリカンに敏感な肌を持っている子だとバリカンが原因で足を舐めてしまい、それが指間炎になってしまうこともあります。

もしそうした心配がある場合は、ハサミでカットしたり皮膚にバリカンの刃が当たらないようにすると安心です。

 

③足裏を濡れたままにしない

お散歩の後に濡れタオルで足を拭いたり洗ったりする飼い主さんは多いと思いますが、実はこの行為が指間炎を招いていることがあります。

 

足裏がムレていると雑菌が繁殖しやすいとお話ししたように、やはり濡れタオルを使ったり水を使って足を濡らしたままにするとよくありません。

 

もしお散歩後に足を拭くのであれば肉球の表面だけにとどめておくか、もう少ししっかり拭く場合は最後にしっかり乾かすようにしましょう。

 

できれば濡れタオルよりもウェットティッシュくらいにしておくと、濡れ過ぎを防ぐこともできます。

 

また、足裏を洗う必要があるのであれば乾いたタオルで拭くだけでは不十分なので、必ずドライヤーで乾かしてください。

 

手間がかかって大変に感じるとは思いますが、指間炎で悩まされる日々を過ごすよりもずっと楽なので、ひと手間を惜しまずケアしてあげましょう。

 

コッカーが指間炎を繰り返す場合の原因と対処法

コッカーが指間炎を繰り返してしまう場合、もしかしたら体の免疫力・抵抗力が低下している可能性があります。

 

指間炎を起こしている原因はさまざまですが、健康の大元となる免疫力・抵抗力を見直すことでトラブルに悩まされにくく治りやすい体質へ導くことができるので、ぜひ一度体質改革の意味で身体の内側からのケアを試してみてください。

 

そして、肉体的にも精神的にも健康な犬生ライフを飼い主さんとともに過ごさせてあげましょう。

 

執筆者:山之内さゆり先生

山之内先生

トリマー、動物看護士

10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。

現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。

カテゴリー Category

著者⼀覧 Author

  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

    増田国充先生

    獣医師

  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

    メディカルトリマー

  • 山之内さゆり先生

    動物看護士・トリマー

  • 國澤莉沙先生

    愛玩動物飼養管理1級

    ホームドッグトレーナー1級

    小動物看護士他

  • 大柴淑子先生

    動物看護士(元)

    ペットアドバイザー