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犬の白血病の原因、症状、治療法【獣医師執筆記事】

獣医師執筆

犬困る

森のいぬねこ病院グループ院長

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会所属

西原 克明(にしはら かつあき)先生

犬の白血病ってどんな病気ですか?

犬、質問

犬を含めて動物の血液には『白血球』や『赤血球』と呼ばれる細胞成分が存在します。

 

その血液中の細胞成分は、骨の中の『骨髄』と呼ばれる組織で作られるのですが、この作られる過程で細胞成分が腫瘍化(=がんになること)したものを『白血病』と呼びます。

骨髄で腫瘍化した血液細胞は、そのままどんどんと増殖して血液中に出現しますので、血液には腫瘍細胞が多く見られるようになります。

 

つまり、犬の白血病は『血液の腫瘍(がん)』と言えます。

 

犬の白血病は血液の細胞成分によってタイプ分けされています。

骨髄で作られる細胞は『造血細胞』と呼ばれ、造血細胞から赤血球や白血球、さらには血小板を作る巨核球に育っていきます(分化と言います)。

そして血液中の白血球はさらに細かく分類され、顆粒球やリンパ球、単球などが存在します。造血細胞は、成長の過程でそれぞれの血液細胞に分化していくのですが、犬の白血病は、これら血液細胞が分化の途中で腫瘍化したものになります。

その結果、分化過程のどの細胞が腫瘍化したかによって、さらには『急性』あるいは『慢性』なのかによって、以下のように分類されています。

 

白血病の分類

【急性白血病】

・急性リンパ芽球性白血病

・急性骨髄性白血病

・急性単球性白血病

・急性骨髄単球性白血病

・急性赤芽球性白血病

・急性骨髄巨核球性白血病

 

【慢性白血病】

・慢性リンパ急性白血病

・慢性骨髄性白血病

・慢性好酸球性白血病

・慢性好塩基球性白血病

・真性多血症

・本態性血小板血症

 

犬の白血病は、名前からは「白血球の腫瘍じゃないの?」と思われるかもしれませんが、実際は、白血球以外にも赤血球や血小板の細胞である巨核球に関連した腫瘍も白血病に含まれます(赤血球や巨核球の腫瘍は犬では非常に稀な病気です)。

 

また、これらの白血病の分類は、『骨髄検査』という特殊な検査によって分類することができます。

骨髄検査は、上腕骨(いわゆる二の腕に相当する骨)あるいは大腿骨(いわゆる太ももの骨)などの骨に針を刺し、骨髄を吸引することで、骨髄内の細胞成分をチェックする検査です。

骨髄検査は痛みを伴いますので、犬の場合は通常、全身麻酔で実施することがほとんどです。

 

腫瘍細胞の量による分類方法

また白血病では、血液中に腫瘍細胞が多数出現する『白血性白血病』、少しだけ出現する『亜白血性白血病』、血液中には腫瘍細胞が認められない『非白血性白血病』というふうに分類されることもあります。

白血性白血病は、血液検査で明らかな異常を認めますので診断しやすいのですが、亜白血性白血病や非白血性白血病は、通常の血液検査では非常にわかりづらい、もしくはわからないため、診断が非常に難しいものになり、通常は骨髄検査によって診断されることになります。

 

犬の白血病に罹りやすい犬種を教えて下さい

多い犬種

犬の白血病の好発犬種は、私が調べた範囲では明らかなものはありません。

ただし、犬の白血病自体が珍しい病気ですので、統計学的に好発犬種を特定することができていないものと考えています。

つまり、好発犬種がいるのかどうかは「わからない」ということになります。

ただし、ヒトの白血病では、遺伝的な要因はないとされており、親から子供に白血病が遺伝することはないようですので、イヌでもあまり遺伝的な要素は関係ないのかもしれません。

犬の白血病の原因って何かありますか?

チェック法

犬の白血病の原因ははっきりとはわかっていません。

ヒトの白血病では、放射線や化学物質、あるいは一部のウイルスによる原因が考えられていますが、それらもはっきりとしたメカニズムは分かっていないようです。

犬の白血病の症状、余命

(どのような症状がありますか?動物病院を受診するポイント)

犬の治療

犬の白血病の症状は、そのタイプによって異なりますが、大まかに急性白血病と慢性白血病に分けてご説明します。

 

【急性白血病の症状、余命】

犬の急性白血病は、犬の病気の中でも非常に重いタイプです。

骨髄の造血細胞が、血液中の赤血球や白血球に分化する途中で腫瘍化し、造血細胞の多くが腫瘍細胞に置き換えられてしまいますので、正常な血液細胞が減ってしまいます。

そのため、正常な血液の役割を保てなくなるので、急激な貧血や内出血を認めるようになります。

 

犬の貧血は、舌や歯ぐき、あるいは耳の内側の皮膚面が白くなってたり、白目の部分、つまり結膜の血管が見えなくなります。

また犬の内出血は、お腹などの皮膚に”紫斑”と呼ばれる内出血を認めたり、歯ぐきや耳たぶに赤黒い点々をあちこちに認める”点状出血”、そして”眼球結膜の出血”が特徴的です。

また、そのほかの症状では、急激に元気がなくなりぐったりとし、食欲がなくなり、どんどんと体重が減っていき、衰弱していきます。

嘔吐や下痢、血便を認めることもあります。

さらには発熱、関節の腫れや痛み、手足のむくみ、ふらつきなどを認めることもあり、中には腫瘍細胞が肝臓や脾臓などへ転移すると、黄疸やお腹の腫れが見られるようになることもあります。

 

急性白血病の余命ですが、文献的には、ほかの病気ほど多くは報告されておらず、統計学的な観点からの余命は不明です。

その少ない報告の中では、積極的な治療を行っても、ほとんどが数日から数ヶ月の余命であり、概して非常に進行が早い病気と言えます。

【慢性白血病の症状、余命】

慢性白血病は、通常緩やかに進行する白血病です。

急性白血病とは異なり、腫瘍化した細胞が正常な造血細胞の分化をほとんど邪魔しないので、急性白血病のような急激な貧血や出血はほとんど見られません。

慢性白血病の中でも、その多くは慢性リンパ球性白血病であり、その他の慢性白血病は、犬では非常にまれにしか見られません。

 

慢性リンパ球性白血病は、その症状は非特異的、つまりなんとなく元気がない、なんとなく食欲がない、時々吐いたり下痢をする、といったほかの病気でもよく見られる症状です。

そのため、こういった症状では白血病だと気付きづらく、よくよく検査して初めて診断される場合が多いようです。

また、ほかの病気を疑う中で、検査の中で偶然、慢性白血病を見つけることもあります。

ですので、いわゆる”よくある症状”でも、治療を続けていてもなかなか良くならない場合は、慢性白血病を疑うことがありますので、骨髄検査などを実施しても良いかもしれません。

慢性白血病の余命は、やはり限られた文献しかありませんが、数ヶ月から1年以上が多いです。

ただし、慢性白血病の中には、突然急性白血病に変化するものもあり、その場合は、途中から急激な重い症状を認めることもあるようです。

犬の白血病の治療法

(どのようにして治療しますか?手術、抗がん剤など)

犬の治療

犬の白血病の治療方法のほとんどが抗がん剤を用いて治療する『化学療法』が実施されています。

犬の白血病の化学療法のほとんどが、様々な種類の抗がん剤を組み合わせて投与する多剤併用療法が用いられています。

 

犬の腫瘍の中で、化学療法がかなり有効に作用するのが『犬のリンパ腫』で、犬のリンパ腫の場合は、治療しない場合の余命は数週間〜数ヶ月とされていますが、化学療法を実施することで、1年以上延命することも可能です。

 

一方、急性白血病では、化学療法の多剤併用療法も様々な抗がん剤の組み合わせで実施されていますが、リンパ腫ほどの効果は得られていないようで、一時的に反応が見られるものの、十分な延命には至らないケースがほとんどのようです。

 

しかし犬の慢性白血病では、多剤併用療法によって、1年以上延命できるケースもあるようです。

白血病の治療において、ヒトの白血病では『骨髄移植』が実施され、その治療効果が化学療法に対して非常に有効なことが知られています。

しかし、犬の白血病では、骨髄移植はその技術がまだまだ不十分なため残念ながら一般的には実施されていません。

犬の白血病の治療例

犬の治療例

これまで私の経験の中で、犬の白血病を診断、治療したケースは残念ながらごくわずかです。

その中で、急性白血病のケースでは、数週間前からの元気、食欲がなくなり、ぐったりしてきたということで来院されました。

すぐさま血液検査を実施し、白血球の異常から急性白血病と診断しましたが、そのわんちゃんは、すでに骨髄検査や化学療法に耐えられる状態ではなく、一般状態の回復を試みましたが、そのまま亡くなってしまいました。

このように、私の経験上は、急性白血病は非常に進行が早い、重い病気というイメージが強くあります。

犬の白血病 食事で注意することや予防法

(普段からどんなことに注意して飼ったらいいですか?)

予防法

今のところ、犬の白血病の原因は不明なため、はっきりした予防方法はわかりません。

ヒトの白血病では、放射線や化学物質によるリスクが知られていますが、犬の日常生活の中でそれらのリスクになるケースは非常に少ないように思います。

 

あとは、白血病に限らず、一般的ながん予防として、日常からの免疫力の維持、そして免疫力のアップに努めてあげるのは良いことだと考えます。

 

犬の場合は、日常生活の中でストレスを減らすこと、つまり十分な運動やご家族とのスキンシップなどを心がけ、さらには食生活の中で、免疫力をアップさせるサプリメントを取り入れることをお勧めします。

 

ただし、犬のサプリメントに関しては、その品質を十分に吟味することが重要で、ポイントの一つとしては『余計な添加物などが含まれていないもの』を選んであげると良いでしょう。

 

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執筆者

西原先生

西原 克明(にしはら かつあき)先生

森のいぬねこ病院グループ院長

帯広畜産大学 獣医学科卒業

略歴

北海道、宮城、神奈川など様々な動物病院の勤務、大学での研修医を経て、2013年に森のいぬねこ病院を開院。現在は2病院の院長を務める。大学卒業以来、犬猫の獣医師一筋。

所属学会

日本獣医学会、動物臨床医学会、獣医がん学会、獣医麻酔外科学会、獣医神経病学会、獣医再生医療学会、ペット栄養学会、日本腸内細菌学会

 

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著者⼀覧 Author

  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

    増田国充先生

    獣医師

  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

    メディカルトリマー

  • 山之内さゆり先生

    動物看護士・トリマー

  • 國澤莉沙先生

    愛玩動物飼養管理1級

    ホームドッグトレーナー1級

    小動物看護士他

  • 大柴淑子先生

    動物看護士(元)

    ペットアドバイザー