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ミックス犬は指間炎になりにくい?病気に強いって聞くけどホント?

動物看護士・トリマー執筆

執筆者:山之内さゆり先生

動物看護士・トリマー

 

マルチーズやトイプードル、シーズーといった純粋な犬種だけではなく、近年はミックス犬が高い人気を集めていますよね。

人気を集めている理由としては可愛いというだけではなく、病気になりにくいということから飼いやすいといった印象が強くあるからだと思いますが、掛け合わせた種類によっては皮膚疾患のひとつである指間炎になりやすいミックス犬もいるんですよ。

そこで、今回はミックス犬だから指間炎になりにくいというのはホントなのか?その真実と指間炎から守るための方法についてお伝えしたいと思います。

 

ミックス犬は指間炎になりにくい?本当か嘘かは犬種にもよる

ミックス犬、つまりは雑種の犬は病気になりにくいということを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

雑種であるミックス犬が病気になりにくいと言われているのは、正確には『特定の』病気になりにくいというのであって、決してすべての病気になりにくく健康的で強い犬種というわけではないのです。

 

例えば、トイプードルは心臓病・関節疾患・皮膚疾患・呼吸器疾患といったものになりやすい傾向にあります。

また、チワワも同じように心臓病・関節疾患・皮膚疾患・呼吸器疾患になりやすい犬種としても知られています。

ミックス犬として人気の掛け合わせでチワプーがいますが、これはチワワとプードルのミックスであり、どちらも同じような疾患を抱えやすい犬種です。

 

つまり何が言いたいのかというと、チワプーがミックス犬だからといって病気になりにくいということはなく、むしろ患いやすい疾患を持っている犬種同士であるため、純犬種のチワワやプードルと同じように特定の病気になりやすい可能性は十分高いのです。

 

では、指間炎はどうなのかというとやはり皮膚が弱い傾向にある犬種同士で生まれたミックス犬であれあば、同じように指間炎になる可能性は高いと言えます。

とはいえ、指間炎はストレスや小さな傷、長時間湿った状態による皮膚環境の悪化、アレルギーなど、さまざまな原因によって起こるものなので、どんなミックス犬であればなりにくいといったものでもありません。

純犬種でもミックス犬でもちょっとしたことが原因で指間炎になる可能性は十分あるので、犬種ではなく日ごろのケアをどうするかに考えを巡らせて対応するようにしましょう。

 

ミックス犬を指間炎から守るためにできる方法

現在多くのペットショップで見かけるミックス犬は、正直言うと「体はそんなに強くないかも、、、」と思ったりします。

この子強いだろうな…と思うことがあるとすれば、本当の雑種犬です。「本当の」というと他のミックス犬が偽物みたいですがそういうわけではなく、いわゆる昔からいるような日本犬同士から生まれた普通の雑種です。

 

もちろん、そうした昔ながらの雑種も皮膚トラブルを起こしたり内臓疾患を患ったりすることはありますが、海外犬種と比べると強めの犬種であることは間違いありません。

とはいえ、先にお話ししたようにどんなミックス犬でも指間炎になる可能性はあり、その中でも最近のミックス犬はもともと皮膚疾患になりやすい犬種同士なので、さらに確率は上がるでしょう。

 

そこで飼い主としてできることがあるとすれば、可能な限り指間炎にならないように守ってあげることです。

それにはいったいどのような方法があるのかをいくつかご紹介します。

 

ストレス解消のために肉体的・精神的にアプローチする

犬は大きなストレスを受けたり溜めこんだりすると、手足を執拗に舐め続けることがあります。

足裏や指の間を舐め続けることで皮膚環境は常に湿った状態となるため、どんどん雑菌が繁殖しやすくなり、最初こそ舐めているだけで異常はなかったものの気付けば炎症を起こしていたなんてことも。

ストレスで手足を舐めているだけならまだマシですが、そのせいで炎症を起こしてしまうと炎症がかゆみ・痛みを引き起こしさらに舐めてしまうといった悪循環を引き起こすため、そうならないためにもストレス解消をしてあげるようにしましょう。

 

ストレスを解消させるためには肉体的アプローチと精神的アプローチの2種類があり、できればどちらも取り入れるとよりストレスを発散することができますが、どちらか一方でも問題はありません。

もし遊ぶことが大好きな子であれば、一緒にボールやロープで遊んだりお散歩にでかけたりするなどして、たくさん体力を使ってあげるようにしましょう。

また、精神的なアプローチをするのであればおすわりやフセといったしつけトレーニングをしたり、フードを隠してニオイで探させるといった嗅覚遊びなど、脳を使うことをしてあげると効果的です。

 

肉体的アプローチでも精神的アプローチでも大事なのは疲れさせること。人間でもたくさん遊んだりたくさん頭を働かせた後は疲れますし、そのあとベッドに入るとぐっすり眠ることができますよね。

それと同じで、体力や精神力を使うことでぐっすりと眠らせてあげることでストレス解消にもなり、眠ることで手足を舐めることがないので指間炎を防ぐことができるのです。

 

お散歩のあとの足拭きは足を濡らさない

お散歩に行ったあとに足を拭く飼い主さんは多いかと思いますが、足を拭くこと自体は決して悪いことではありません。

大事なのは足を濡れたままにしないということ。しかし、多くの飼い主さんは足をキレイにしようと濡れタオルで拭いたり、お風呂場に連れて行って洗ったりしますが、その後しっかり乾かすというところに至っていないのです。

 

もちろん、乾いたタオルで拭いたりドライヤーを使ったりしている飼い主さんがほとんどだと思いますが、やっているだけで本当にしっかり乾燥させているでしょうか?

肉球の裏だけを軽くウェットティッシュなどで拭くだけならそんなに神経質にならなくてもいいかも知れませんが、もし足の裏の間や指の間まで濡れていたり湿っているのであれば、しっかり乾かさなければいけません。

ただでさえ常に地面に接していて密着している場所なのに、湿り気を与えたままにしていては雑菌がどんどん繁殖してしまいます。

増えた菌は炎症を引き起こし、それが痒みとなって足の裏や指の間を執拗に舐めるようになり、指間炎になってしまうことは言うまでもありません。

お手入れをしているつもりが実は指間炎を起こす原因作りになっているかも知れないので、お散歩後のケアを一度見直してみるようにしましょう。

 

熱い時間のお散歩は控える

お天気のいい日は愛犬と一緒にお散歩すると気持ちがいい!ということで、よく日中お散歩をする飼い主さんをお見かけしますが、それはNGです。

日中、しかもお昼のお日さまの高い時間に犬を歩かせるということは、裸足で熱されたアスファルトの上を子供が歩かせられているようなもの。

逆に、自分が日中ガンガンに熱くなったアスファルトの上を裸足で歩くことってできますか?さらに四つん這いになって地面に近い状態で歩くことはできるでしょうか?

上からも下からも熱が体を包み込み、足はフライパンのように熱された熱で侵される…とてもじゃないですがそんな状況無理ですよね。

 

犬も同じですし、特にミックス犬のような小型犬種の掛け合わせで生まれた子たちは地面から非常に近い高さで歩いているので、足裏の熱だけでなく熱中症になる危険性もあります。

また、熱された地面を歩かせ続けることで足裏が火傷をしてしまい、ひどい場合はただれてしまうこともあります。

軽傷であれば軽い火傷から指間炎といったケースもありますが、いずれにしても日中の暑い時間にお散歩に行くことはやめましょう。

 

犬用の靴を履かせる

これは子犬の頃からトレーニングをしていないと難しいかも知れませんが、もし可能なら犬用の靴を履かせてあげるのも有効です。

犬は裸足で歩いている状態なのでダイレクトにさまざまな刺激を足に受けていますが、靴を履かせてあげることでガラスや小石など足が傷つく可能性があるものから守ることができます。

また、靴を履くことに慣らせることができれば足元が危険な災害時にも安心感が高まるため、靴に慣れさせておくことはとてもおすすめです。

 

スキンケア系のドッグフードを与える

質の悪いドッグフードはもちろん皮膚にもよくないため、皮膚のバリア機能や免疫力低下から指間炎を起こすことがありますが、良質なドッグフードを与えている場合でも指間炎になることがあります。

例えば、食物アレルギーだった場合アレルギー用の処方食を与えなければ、指間炎に限らず耳や目の周り、口周り、消化器系など、アレルギー症状を引き起こします。

また、与えているドッグフードが体に合わない場合も指間炎を引き起こすことがあるため、指間炎になる確率をぐっと下げたいならスキンケア系のドッグフードかおすすめです。

 

食物アレルギー専用のドッグフードがそれに値しますが、これはアレルギーでなくても予防として食べさせてあげることができるため、もし特定の疾患によって与えなければいけない処方食がないなら使ってみてもいいでしょう。

ただし、処方食としても予防食としても使えるドッグフードは事前の相談と場合によっては診察が必要となるので、自己判断で購入しないようにしましょう。

もし、そうした処方食の類ではないドッグフードなら、無添加で人間が食べられるレベルのドッグフードを選ぶのもおすすめです。

 

トリミングでの足裏バリカンを控える

これは施術者であるトリマーの腕の良し悪しだけでなく、愛犬の性格(足をおとなしく触らせてくれるか)やバリカンに対しての体質などによっても変わり、やってみないと分からないというのが現状です。

バリカンを当てることで目に見えない小さな傷がついたり、刃物が当たることで刺激を感じるなどがあれば、それに違和感を感じて舐めてしまい指間炎になります。

しかし、足裏のバリカンの目的は余計な毛をカットして清潔を保ち滑りにくくするためにあるので、もしバリカンに抵抗を感じたり肌が弱い傾向にあるなら、肉球から出ている毛だけをカットしてもらう方法がおすすめです。

 

トリマーさんに伝えるときには、「足裏のバリカンは表面だけでお願いします。指の間や肉球の間までは剃らないで大丈夫です」と言えば伝わります。

もしそれでもミスではなく意図的に中まで剃っていたら、そこのお店やトリマーさんは飼い主さん&わんちゃんファーストではなく、自己満足でトリミングをしている可能性が高いです。

キレイにしてもらうのはもちろんではありますが、トリマーの本質は飼い主さんの希望と犬への負担を考慮し、それを形にしたケアをすることです。

そのことを見失い、自分が満足するためのトリミングを行なっているトリマーは、本当の意味でケアができていないため、トリマーやトリミング店を選ぶ際は注意しましょう。

 

爪切りを定期的に行い短い状態をキープする

トリミング月に一回連れて行くと思いますが、生活環境によっては月に一回の爪切りだけでは不十分な場合があります。

また、爪が伸びすぎると歩くときにカシャカシャ音がしたり滑りやすくなるだけでなく、爪の根元が折れる(脱臼する)などケガの原因にも。

爪の根元が負傷すると痛みや違和感から舐めてしまいそこから指間炎に発展するので、爪は短い状態をキープしてケガ予防に努めましょう。

 

ただし、体質によっては血管が長く爪があまり短く切れない子もいます。

血管切りと言って爪の血管ごと短くする方法もありますが、血管と神経を一緒に切るので強い痛みを伴い犬にとっては苦痛です。

また、それが原因で足を触らせてくれなくなり、時には足を触ると噛んだりするようにもなるため、血管切りはおすすめできません。

もし、爪をあまり短くすることができないタイプの子なら可能な範囲で短くして、爪が引っかかったり滑ったりしにくい素材のマットを敷いてあげるなどするといいでしょう。

 

免疫力アップのためのサプリメントを使う

指間炎から守るための対策として食事や精神的・物理的ケアを行なっていたとしても、指間炎になってしまうケースがあります。

こうしたケースは免疫力がもともと強くない体質の可能性があるため、それを補うべくサプリメントを使うのもひとつの方法です。

 

また、食事をすぐに変えることはできないけどサプリメントで対応をする、という使い方もできるので、免疫力アップには使いやすいといえます。

使うサプリメントはいろんな種類がありますが、ドッグフードと同じように良質な原料が使われたものを選ぶようにすることが大事です。

 

また、サプリメントは薬ではないので即効性はありませんから、まずは1ヶ月続けて変化を感じ始めるといった流れにはなりますが、良質なサプリメントを続けることで免疫力がアップし、指間炎になりにくくなったり悩まされている子であれば状態が落ち着くといった変化が期待できます。

 

しかし、良質なサプリメントでなければあまり効果は期待できないどころかほとんど意味のないものになってしまうため、サプリメントの見極めはとても重要です。

動物病院で相談してみるのもいいですし、アガリクスを使ったサプリメントも非常におすすめです。

特にキングアガリクス100は無添加のアガリクスだけを使ったサプリメントで、実績も十分あるため試してみる価値は十分にあります。

また、個人的に私自身が飲んだこともあり身をもって体の内側からエネルギーがみなぎる感覚を体験しているので、飼い主さんと愛犬とそろって使ってみるのもいいと思っています。

 

ミックス犬は指間炎になりにくい?病気に強いに騙されないで!まとめ

今回ミックス犬は指間炎になりにくいのか?その真実についてご紹介しました。

実際のところミックス犬(雑種)だから病気にも強く指間炎になりにくいのではなく、それぞれの特性をもったものから生まれた犬種である以上、やはり指間炎や特定の疾患になりやうい傾向にはあります。

もし、特定の疾患になりにくいミックス犬を求めるのであれば日本犬の雑種を選ぶべきでしょう。

しかし、どんな犬種であっても病気にならないなんてことは絶対にありませんし、育てる環境や育て方によって免疫力は上がることも下がることもします。

あとは、いかに病気に強く健康的に過ごさせてあげるかによって大きく変わってくるため、毎日の生活のなかで指間炎になりにくい工夫を重ねながら過ごしてあげるようにしてください。

 

執筆者

山之内さゆり先生

トリマー、動物看護士

10年間動物病院でトリマー兼動物看護士として勤務。

現場で得た知識と経験を情報として発信し、飼い主さんとペットが幸せに暮らせるためのお手伝いをしていきたいと思います。

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  • 森のいぬねこ病院グループ 院長

    西原克明先生

    獣医師

  • 増田国充先生

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  • 大谷幸代先生

    愛玩動物飼養管理士

    青山ケンネルスクール認定A級トリマー

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  • 山之内さゆり先生

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    動物看護士(元)

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