犬のマラセチア皮膚炎（症状、原因、治療）

獣医学部生執筆

2016.05.27

犬のマラセチア皮膚炎（症状、原因、治療）

犬の皮膚病

犬のマラセチア皮膚炎ってどういう病気？

マラセチアとは、健康な犬や猫の皮膚に普通に存在する真菌（いわゆるカビ）のことです。耳の中や指の間、その他に油っぽい皮膚の表面にも存在していて、普段は害を与えることはありません。しかし皮膚の油が過剰に作られたり、湿度が高かったりする状況でマラセチアが増えやすくなると、激しいかゆみを伴いながら、犬がマラセチアに感染してしまうことがあります。一度感染して症状があらわれると、マラセチアは皮膚の表面を変化させてさらに増えていきます。

このように、マラセチアが原因でおこるかゆみを伴った皮膚病を、マラセチア皮膚炎といいます。

マラセチア皮膚炎にかかりやすい犬種

マラセチア皮膚炎にかかりやすい犬種には「シーズー」や「テリア系」、「シェットランド・シープドッグ」などが挙げられます。顔や体にしわが多く、皮脂（皮膚の油）のたまりやすい「パグ」などの犬種でもかかりやすいようです。また、マラセチアは湿度の高い環境で増えやすいため、じめじめした梅雨の時期に発症することが多くみられます。

犬のマラセチア皮膚炎の症状

口やあご、耳の中と耳のまわり、首、股の間、肉球の間、爪の間、肛門のまわり、しっぽなどにマラセチアが感染して、かゆみを引き起こします。耳に感染した場合、頭を傾けて耳をかゆがったり痛がったりする症状がみられるのが特徴です。多くの場合感染したところに「厚くなった皮膚」や「脂肪の多い皮膚」、「フケ」、「脱毛」、「悪臭」などがみられます。

重症化すると、つねに頭を傾けた姿勢をとるようになることもあります。